オリーブの栽培を楽しんでいる方の多くが、お気に入りの株を増やしたいと考え、オリーブの挿し木に挑戦されます。しかし、実際にやってみるとオリーブの正しい挿し木の仕方は?と疑問が湧いたり、発根せずに枯れてしまったりと、難しいと感じる場面も少なくありません。オリーブの挿し木はいつ行うのが最適かという時期の問題や、水栽培やペットボトルを利用した方法の有効性、さらに大きい枝でも増やせるのかといった点まで、正しい知識が必要です。挿し木をしてから何日で根が出るのかという不安を解消するために、適切な部位はどこを切るべきか、発根期間はどの程度かかるのかといったメカニズムを詳しく紐解いていきましょう。
- 品種や生理状態に合わせた最適な挿し木の時期が判断できるようになる
- 成功率を劇的に高めるための枝の選び方や切り方のコツがわかる
- 初心者でも再現しやすいペットボトルを活用した密閉挿しの手順が学べる
- 発根までのタイムラインを知ることで適切な水やりと管理が継続できる
オリーブの挿し木を成功させる時期と品種の選び方

このセクションでは以下の内容について詳しく解説します。
- オリーブの挿し木はいつ行うのがベスト?
- 季節によって異なる最適な時期の考え方
- オリーブはなぜ挿し木が難しいと言われるのか
- 成功率を高めるためにどこを切るべきか
- 挿し木をしてから何日で根が出るのか
- 種類によって異なる発根期間の目安
オリーブの挿し木はいつ行うのがベスト?
オリーブの増殖において最も推奨されるのは、新梢が充実し始める5月から7月にかけての緑枝挿しです。この時期の枝は細胞分裂が非常に活発で、親株から切り離された後も根を再生させるエネルギーを十分に蓄えています。また、気温が上昇してくるため、植物の代謝が上がり、発根に必要な化学反応が促進されやすいのが特徴です。ただし、梅雨明け以降の極端な高温や乾燥には注意が必要であり、湿度の高い時期を狙うのが成功への近道といえます。
季節によって異なる最適な時期の考え方
挿し木のタイミングには、前述の緑枝挿し以外にも、2月から3月の剪定時期に合わせた休眠枝挿しがあります。緑枝挿しは発根までのスピードが速い反面、葉からの蒸散による乾燥リスクが高いという側面があります。一方で、休眠枝挿しは葉が少ない、あるいは落とした状態で行うため乾燥には強いですが、発根までに数ヶ月を要し、管理が長期化します。ご自身の栽培環境や、確保できる枝の状態に合わせて時期を選択することが大切です。
オリーブはなぜ挿し木が難しいと言われるのか

オリーブが難発根性樹種とされる理由の一つに、枝に含まれるフェノール化合物の存在があります。特にオレウロペインなどの成分は、切り口からの発根を阻害する内生抑制物質として働きます。さらに、成熟した枝ほど組織の木質化が進んでおり、形成層で生まれた根の赤ちゃん(根原基)が、硬い組織を突き破って外に出るのを物理的に妨げてしまいます。このように、化学的・物理的な二重の障壁があるため、他の植物よりも成功率が低くなりやすいのです。
成功率を高めるためにどこを切るべきか
挿し穂を作る際、どこを切るかは極めて重要な判断基準です。選ぶべきは、その年に伸びた健康的で鉛筆より少し細い程度の枝です。カットする位置は、葉の付け根である節のすぐ下を狙います。節の部分には植物の成長を司る分裂組織が集中しているため、ここを基部にすることで根が出る確率が高まります。また、切り口は鋭利な刃物で斜めに鋭く切り、吸水面積を広げるとともに、組織を潰さないように配慮してください。
挿し木をしてから何日で根が出るのか
一般的に、環境が整った状態の緑枝挿しであれば、45日から90日程度で発根が確認できるようになります。最初の2週間から1ヶ月は、切り口を保護するための癒傷組織であるカルスが形成されます。その後、少しずつ根が伸び始めますが、この段階ではまだ吸水能力が低いため、地上部の葉を枯らさない管理が求められます。外見上の変化が少ない時期ですが、内部では懸命に再生が行われています。
種類によって異なる発根期間の目安
オリーブは品種によって遺伝的に発根のしやすさが大きく異なります。以下の表は、主要品種における発根特性をまとめたものです。
| 品種名 | 発根のしやすさ | 推定発根期間 | 特徴 |
| フラントイオ | 容易 | 1.5〜2ヶ月 | 非常に発根力が強く初心者向き |
| ネバディロ・ブランコ | 普通 | 2〜3ヶ月 | 比較的安定しており増やしやすい |
| マンザニロ | 普通 | 2.5〜3.5ヶ月 | 標準的な管理で活着が期待できる |
| ミッション | 困難 | 4ヶ月以上 | 極めて難しく高度な湿度管理が必要 |
| ルッカ | 困難 | 4ヶ月以上 | 接ぎ木での増殖が一般的とされる |
このように、ミッションやルッカなどの品種を挿し木にする場合は、通常よりも長期戦になることを覚悟し、忍耐強く管理を続ける必要があります。
オリーブの挿し木を初心者でも成功させる具体的な手順

このセクションでは以下の内容について詳しく解説します。
- オリーブの木の挿し木の仕方は?基本のステップ
- 初心者におすすめのペットボトル密閉法
- 水栽培による発根の限界と注意点
- 大きい枝を使った太木挿しのポイント
- 失敗しないためのオリーブの挿し木の管理術
オリーブの木の挿し木の仕方は?基本のステップ
基本的な手順は、まず充実した枝を10~15cm程度にカットすることから始まります。上部の葉を2枚から4枚ほど残し、残りの葉は取り除きます。残した葉も蒸散を防ぐために半分に切り詰めましょう。次に、切り口を1時間ほど水に浸して、発根阻害物質を洗い流すとともにしっかりと吸水させます。その後、メネデールなどの市販の発根促進剤を切り口に塗布し、無菌の清潔な用土(赤玉土やパーライトなど)に指で穴を開けてから、そっと挿し込みます。
メネデールの効果や使い方については、以下の記事で詳しく解説しています。
▶挿し木にメネデールは効果的?プロが教える発根を促す使い方のコツ
初心者におすすめのペットボトル密閉法
初心者が最も失敗しやすい原因は、発根する前に挿し穂を乾燥させてしまうことです。これを防ぐ知恵として、ペットボトルを利用した密閉挿しが有効です。2リットルのペットボトルを半分に切り、下部に排水穴を開けて用土を入れます。挿し木をした後に上部を被せてテープ等で固定し、キャップを閉めることで、内部の湿度が100パーセント近くに保たれます。これにより、根がない状態でも葉からの水分失墜を最小限に抑え、生存率を飛躍的に高めることが可能です。
ただし、この方法は密閉空間を作るため、直射日光に当てると内部温度が急上昇し、挿し穂が蒸れて枯れる「煮え」の状態や、過湿によるカビの発生を招くリスクがあります。そのため、必ず直射日光の当たらない明るい日陰で管理し、温度が上がりすぎないよう注意を払うことが成功の絶対条件となります。
水栽培による発根の限界と注意点
コップに水を入れて枝を差しておく水栽培は手軽ですが、オリーブにおいては成功率が安定しません。水中で出る根は「水根」と呼ばれ、土の中で機能する根とは構造が異なります。せっかく水栽培で根が出ても、土に植え替えた際の環境変化に耐えられず、そのまま枯れてしまうケースが多く見られます。また、水中の酸素不足や雑菌の繁殖により、切り口が腐りやすいというデメリットもあります。鑑賞目的であれば良いですが、苗木として育てたい場合は最初から土に挿すことをおすすめします。
大きい枝を使った太木挿しのポイント
剪定で出た直径3~10cmほどの大きい枝をそのまま地面や深い鉢に埋めるのが太木挿しです。オリーブの驚異的な生命力を利用した方法で、枝の内部に蓄えられた貯蔵養分を頼りに発根させます。ポイントは、枝のほとんどを土の中に埋め、地上には数センチだけ出すことです。ただし、春先に新芽が勢いよく伸びても、それは枝の体力だけで伸びている「偽活着」の状態であることが多いです。自前の根が動くまでは半年近くかかることもあるため、安易に掘り起こしたり乾燥させたりしないよう注意が必要です。
失敗しないためのオリーブの挿し木の管理術
オリーブの挿し木を成功させるためには、高湿度を維持しつつ、繊細な根を乾燥や害虫から守り抜く管理が求められます。しかし、初心者にとって「一定の湿度を保ちながら、毎日適切に観察を続ける」という作業は、想像以上に負担がかかるものです。
特に、簡易的な密閉法では空気の入れ替えが難しかったり、いつの間にか用土が乾燥してしまうといった失敗が後を絶ちません。知識として「湿度が必要」とわかっていても、それを24時間体制で物理的に補助してくれる道具がなければ、発根までの長い期間を乗り切るのは困難です。
こうした管理の判断や作業を助けてくれるのが、専用のカバーやトレイが一体となった育苗資材です。例えば、以下のような特性を持つ製品が、初心者の強い味方となります。
- 複数の挿し穂を同時に管理でき、一本ずつ深い穴で根を保護できる構造
- 透明なカバーが付属しており、内部の湿度を保ちながら外から成長を観察できるもの
- 排水穴が適切に設計されており、根腐れを防ぎつつ、害虫や鳥などの外敵から苗を物理的に遮断できるもの
このような、湿度維持と観察のしやすさを両立し、根が張りやすい深さを確保した専用の育苗トレーは、技術を道具で補いたい初心者にとって一つの賢い選択肢になるでしょう。
まとめ:オリーブの挿し木で確実に苗を増やすための要点

- オリーブ挿し木は5月から7月の緑枝挿しが最適である
- 節のすぐ下を鋭利な刃物で斜めに切るのが発根のコツ
- 葉からの蒸散を防ぐため残す葉は半分にカットする
- 切り口を水に浸して阻害物質を流す溶脱工程が重要
- 品種による発根難易度の違いを理解し根気強く待つ
- 初心者はペットボトルで湿度を保つ密閉挿しもおすすめ
- 水栽培は植え替え時のリスクが高いため土挿しが望ましい
- 挿し穂には今年伸びた元気な徒長枝やひこばえを選ぶ
- 発根剤を使用することで細胞分裂を促し活着率を高める
- 太木挿しは芽が出ても根が出るまで数ヶ月の辛抱が必要
- 直射日光を避けた明るい日陰で温度を25度前後に保つ
- 用土は赤玉土やパーライトなどの清潔で無菌のものを使う
- 鉢上げは根が十分に回り外気に慣らす馴化を経てから行う
- 毎日の観察でカビの発生や水切れがないか細かく確認する


